住宅と店舗が混在する都内に計画した15戸の賃貸住宅と2戸の店舗の建築です。一般的に単身者向け賃貸住宅は、事業計画の段階で、専有面積を効率的に大きく確保することが優先されるため、結果として建物周辺や共有部に対して閉鎖的なつくりとなってしまうことがあります。この建築では効率的な住戸配置や住戸数を維持しながら、街の中で均質ではない変化に富む魅力的な表情をもつ集合住宅について考えました。
その結果、前面道路から出来る限りセットバックした配置計画とし、テナントや共有玄関にゆとりを設けると共に、道路面に対してバルコニーやインナーバルコニーといった緩衝空間を設えています。住戸の窓際には植栽や自転車、アウトドア用具などが並び、個々の住戸のプライバシーを守りながらも、住まう人々の気配がバルコニーにこぼれ出し、建築の表情になることを意図しています。