Matsuura Sota Architects

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House H

千葉県松戸市に建つ、若い夫婦と小さな子供のための住宅です。

活きるシンボルとして

松戸市は60年代頃から東京郊外の住宅地として発展した背景があり、今回の計画はその時代につくられた家の建替え計画でした。これからの将来に希望をもつ若い家族から、この場所に新しいシンボルとしての家を建てて欲しいという依頼だったように思います。それに対して、大きな屋根とそれを支える構造部材を日常生活で利用できるものにすることで、単純な象徴ではなく、家族とともに活きるシンボルを提案できないかと考えました。

生活の跡が残る構造体

敷地の中に配置した大きな屋根の中に、8本のY字型をした木フレームを林立させ、そのフレームに2階の床やロフトの床を引掛けて居室を設ける計画としました。90ミリ角の集成材でできたY字フレームは、伝統的な木造建築でいう屋根裏の束や梁のように家全体に張り巡らされ、その中に自由な高さで6枚の床板を引掛けています。引掛ける床板のレベルや場所よって、屋根面や他の居室との距離が変化するとともに、床板下の空間にも変化が生まれます。家全体は1つの大きなワンルームですが、Y字フレームとそこに引掛かる床板によって、大きな屋根の下の空間が緩やかに分節され、家族がそれぞれの場所に居ながらでも、互いに気配を感じながら暮らしていけることを意図しました。Y字フレームに絵や小物を飾ったり洗濯物を掛けたり、また子供の背丈が印させたりと、家族の日常的な生活に家の骨組みが自由に使われて関わっていくことで、手垢が残る本のように、家族の生活の跡が残る家になってほしいと思います。

所在地 / 千葉県
敷地面積 / 161.82㎡
延床面積 / 115.41㎡
構造 / 木造・2階建
構造設計 / 寺戸巽海
施工会社 / 広橋工務店
撮影 / 池本史彦
(篠崎弘之建築設計事務所在籍時担当)
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